2012年6月アーカイブ

友人から勧められて内田樹の本を読むようになってから3年以上がたちました。最初からその本の世界に引き込まれて、すっかりファンになってしまいました。以来10冊以上彼の本を読みました。

最近読んだ本の中に「最後の時が来た時に後悔しないようにすべての瞬間を丁寧に生きる人が幸せな人だ」とあったのが、心に残っています。内田樹がそう思うようになったきっかけの一つは「エースをねらえ」というマンガを読んだことだそうです。

―テニスのコーチである「宗方コーチ」はテニスプレーヤーとしての絶頂期に突然選手生命を絶たれる。そして「自分のプレーヤー生命にいつか終わりが来る」ということを予想せずに過ごしてきたことに気づき深く恥じるのである。その後愛弟子の「ひろみ」に私の失敗を繰り返すなと諭し、「この1球は唯一無二の1球なり」という言葉を伝える(内田樹「『おじさん』的思考」―

このマンガを読んで以降、彼は1日1日をかけがえのない経験として生きるように決め、そのように生きてきて、「今『終わり』来ても平気だ」といえるようになっているそうです。       

「エースをねらえ」は私くらいの年代の人は、1度は読んだことのある有名なマンガです。私も読みましたが、その時はそれをきっかけとして、毎日を丁寧に生きようとは思いませんでした。今回内田樹がそんな風に紹介してくれたので、自分も同じように生きていくようにしようと考えました。

また同じ本の中で、彼の先生であるレヴィナスが「『お先にどうぞ』といつでもいえる人間が倫理的に優れている人だ」といっていると紹介しています。

―「お先にどうぞ」はたしかにエスカレーターの前やドアの前で言うことはそれほど難しくないが、でも「沈みゆくタイタニック号の最後の救命ボートの最後のシートを目の前にして「お先にどうぞ」というのはそれほど簡単でない。それがいえる人は、その瞬間にやり残したことがない状態でいる人だ。そんな人は「ま、いいすよ。おいらは。人生じゅうぶん愉しんだし」と心から思っているから、言えるのだ。(内田樹「『おじさん』的思考」―

言われてみれば確かにその通りだけれども、なかなか普段から、「すべての瞬間を丁寧に生きる」ことを意識して生活するのは難しいです。でも幸せな人になるために、1日1日一瞬一瞬を大切にしたいと改めて思いました。やっぱり内田樹の本は読み応えがあります。これを読んだ皆さんもぜひ一度手にとってみるといいと思います。きっとすばらしい世界と巡り会えると思います。

国語科M