~出会いの大切さ~

私が今まで教わった教員で大事な方(必ずしも好きであるとか、良い教員であったとかいう意味ではありません。勿論悪い教員ではありませんでしたが...)が2人いらっしゃいます。

1人は小学校5年生のときの担任です。私は小学校のとき算数が大の苦手で、成績も良くありませんでした。然しその先生は、「あなたは算数の力があるのだから努力するのよ」とおっしゃって下さいました。普通ならそんなに気にしないのでしょうが、単純な私は、何となく彼女の言葉が心に残りました。でも相変わらず算数は苦手、嫌いでした。

そんな私は小学校を卒業したとき、中学での勉強、特に数学に大変不安を感じていました。自分は中学生になったら絶対クラスでビリになるとさえ思っていました。偶然隣の家のお姉さんが中学校を卒業して、恐らくは処理するのが面倒だっただけなのでしょうが、私に彼女の中学時代の教科書をくれました。中学の勉強に不安があったので、数学は教科書を見て自分で問題を解きました。それが功を奏したのか中学に入学して数学の授業はよく理解出来て、初めての中間試験は満点でした。そのとき、小学校のときのその担任の先生の言葉を思い出しました。

それからは数学が大好きになり、得意になりました。中2のとき、数学の教員になりたいと思うようになりました。そして、私は大学、大学院で数学を専攻し、数学の教員になりました。彼女の言葉がなければ今の私はなかったでしょう。

もう1人は中学時代の音楽の先生でした。彼女は「クラシック音楽を聴いて感想文を書く」ことを夏休みの宿題に出しました。当時の私はクラシック音楽が何であるかも知らないような無知な中学生でしたので、母に尋ねたところ、「ベートーベンとかモーツァルトの音楽で、NHKの名曲アルバムで放送している」と言うので、聴いてみました。今でも鮮烈に覚えていますが、ハイドンの弦楽四重奏曲"ひばり"の第1楽章でした。あまりの素晴らしさにすぐに大好きになりました。グリーグのノルゥエー舞曲、シューマンの子供の情景、ヘンデルの水上の音楽...など私を魅了した作品は今でも私のお気に入りです。そのときに書いた感想文をその先生はとても強く褒めて下さり、文化祭のときに展示までして下さいました。

それもあって、それからはクラシック音楽にのめりこむようになり、今ではそれなしではいられないほどです。クラシック音楽を聴くようになってからドイツに興味を持つようになり、随分長くドイツ語を習いました。ドイツの文化にも触れ、また多くの素晴らしい方とも出会えたのは幸いでした。こうした素晴らしい文化と出会えたのはひとえにその先生のおかげで、感謝の念に堪えません。              

このお二方は、正直に言えば、生徒からはあまり好かれてはいませんでしたが、私にとっては彼女たちとの出会いがなければ今の自分はないという意味で、重要な恩師です。そしてお二方との出会いは自分にとって極めて大切なものです。私も生徒たちにそのように思われる存在でありたいと思っています。                  数学科 H.T