実りの秋に想うこと

 秋の装いが深まって、いよいよ実りの秋を迎えています。秋は収穫物を集める時、つまり、有秋の情景に彩られた嬉しくも哀しい時と言えます。こうした季節の移ろいは、私たちの人生の有為転変の象徴として語られることも多く、四季の微妙な移り変わりを自然の色彩と同時に、心情を語り伝える言葉として表現されています。また、季節は巡ってくるとも考えらえていますが、それは自然界が有する圧倒的で不可思議な再生の力に対する私たち人間の畏怖と憧憬であるとも考えられます。
 さて、私たちは何事かを為さんとするとき、目標達成に向けての緻密な計画とともに成就のための強い意志と粘り強い集中力、そして不断の努力こそが成功のカギであることは疑いようのないことです。また、「継続は力なり」ともよく言われますが、これも先人たちが長い紆余曲折の歴史の中から、人生の歩み方・生き方の極意として学び、体得した珠玉の真実であると思います。己の信じる道を誠実な熱意を込めてコツコツと歩み続けることの素晴らしさに大いなる憧れを抱くのは私だけではないと思います。しかしながら、この一つの道を脈々と歩み続けるという行為は、決して同じことの繰り返しを意味するものではありません。一見するとそのように思えるかもしれませんが、私たちの生きる営みには昨日と同じものなど存在せず、細やかではあっても昨日より進歩・前進しているはずです。稀には後退していることもあるでしょうが、いずれにしても同じことと見えるものも、実は着実にその在りようを変化させた姿で私たち自身に迫ってくるものなのです。それゆえ、「同じことを続けること」は、私たちが進歩や前進という可能性を育てるための確かな方法であると言えます。
 毎日のルーティンは、時につまらなく惰性に流されてしまいがちですが、この退屈ともいえる繰り返しの中にこそ成長や変化の「種」が入っているのです。そして、やがてはその種が地面に根をおろし、緑を茂らせて、成長と希望の光をともす力を私たちに与えてくれます。日々の授業、宿題・課題、予習・復習、さらには部活動、行事への取り組み、家事の手伝いなどすべてが今日を踏まえての明日の変化(実り)を約束するエネルギーです。飽くことなく今日を一所懸命に明日へと続く道を一緒に愚直に進みたいと願っています。