光る大腸菌

先週、高校2年生の授業で、遺伝子組換え実験を行いました。プラスミドを利用し、アンピシリン耐性遺伝子とGFP遺伝子を大腸菌に導入する実験です。昨年お亡くなりになった下村脩さんが2008年にノーベル化学賞を受賞したことで、知っている方も多いかもしれませんが、GFPとはオワンクラゲがもつ緑色蛍光タンパク質のことで、紫外線を当てると緑色に発光します。

目に見えないプラスミドというDNAが、これまた目に見えない大きさの生物である大腸菌の体内に取り込まれ、教科書に書いてある通りのはたらきをし、結果、プラスミドを取り込んだ大腸菌は、アンピシリン(抗生物質)が入った培地でも増殖し、目で見える大きさのコロニーとなります。さらに、紫外線ランプを当てると緑に光りますから、実験結果は肉眼ではっきりと観察でき、生徒は「星座みたい!」と喜んでくれました。

多くの基礎研究の結果、見えないものが見えるようになってきたのが自然科学の歴史です。高等学校までの理科では、多くの先人が「見える化」してくれた功績を学びます。今では「ゲノム編集」という技術で、遺伝子組換えよりも簡単に生物の遺伝子を改変することができるようになっていますから、ともすると、「人類はもう生物のしくみをすべて知っている」という誤解をしてしまうかもしれません。

知識を伝えるのはもちろんですが、「世界にはまだ見えていないものがたくさんあるのだ」ということこそ、理科の授業で伝えなければならないことではないか。そんなことを、光る大腸菌を見ながらぼんやりと考えました。

理科 S

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